マナー
公開日 │ 2025年05月29日
出棺とは?一般的な流れやマナー、注意点を葬儀社が解説
もくじ

1.出棺とは火葬場へ向かうため棺を運び出すこと
出棺とは、葬儀や告別式の最後に、棺に納められた故人様を火葬場へお連れするために、式場から棺を運び出す一連の儀式のことを指します。ご遺族や参列者は、故人様のお顔を見て最期のお別れをし、花を手向けます。
棺に蓋がされた後、ご遺族やご親族の手によって棺が霊柩車まで運ばれます。出棺の儀式は、故人様がこの世から旅立たれる重要な節目であり、残された方々が故人様に最後の別れを告げて見送る大切な時間です。
1-1.地域によっては出棺の習わしがある
地域によっては、以下のような古くから伝わる出棺の習わしがあります。
- 自宅からの出棺の場合、玄関からではなく窓や縁側から棺を運び出す
- 故人様が生前使っていた茶碗を割る
- 集まってきた人に供養品を配ったり撒いたりする
このような出棺の習わしは主に、恐怖心から死霊が再び家に戻ることのないようにとの気持ちの表れが起因しています。 ただし、これらの習わしや言い伝えは、必ずしも正しいものとは限りません。
地域によっては古くから伝わる出棺の習わしがあることを理解したうえで、現代の葬式において 従う必要があるかどうか、ご遺族間でよく話し合い慎重に決定するようにしましょう。
2.出棺の一般的な流れ
出棺の儀式では、故人様を弔うお花を棺に入れる「別れ花の儀」や、棺の蓋に釘を打ち開かないように固定する「釘打ちの儀」などを執り行います。一連の儀を執り行った後、喪主による出棺の挨拶があり、棺を霊柩車まで搬送し、火葬場に移動するのが基本の流れです。出棺の一般的な流れについて詳しく解説します。
2-1.別れ花の儀
別れ花の儀とは、ご遺族や参列者が故人様が眠る棺の中に、お花を手向ける儀式のことです。 故人様が安らかに旅立てるよう、供養の気持ちを込めてお顔周りや胸元にお花を手向けます。別れ花の儀では、故人様の生前お好きだったものや、お手紙などを一緒に棺に納めることもあります。故人様のお顔を見ながら感謝や別れの気持ちを伝え、最後の大切な時間を穏やかに過ごします。
2-2.釘打ちの儀
釘打ちの儀とは、棺の蓋を釘で打って開かないように固定する儀式のことです。ご遺族やご親族が、故人様の安らかな旅立ちを願いながら、棺の蓋に釘を打ちます。現代では省略されることも多くなっていますが、故人様との別れを物理的にも区切る、象徴的な儀式として大切に残されている習わしです。
2-3.出棺の挨拶
出棺の挨拶とは、棺を霊柩車へ運び出す直前に、喪主またはご親族の代表者が行う挨拶のことです。 出棺の挨拶では、参列者への感謝の気持ちや、故人様が生前お世話になったことへのお礼などを伝えます。最後のお別れの儀式として、故人様への思いなども、心を込めて伝えられます。
2-4.棺を霊柩車まで搬送
出棺の挨拶の後は、棺を霊柩車まで運び出します。 棺はとても重いため、一般的にはご遺族やご親族の男性陣や、葬儀社のスタッフが協力して搬送します。故人様が逆さにならないよう、足元を先頭にして運び出します。 参列者は棺の後について移動し、故人様との最後の別れを見送ります。搬送時は静かに、厳粛な雰囲気が保たれます。
2-5.火葬場に移動
棺を霊柩車に納めた後は、火葬場に移動します。 霊柩車には近親者が同乗し、他のご遺族やご親族はマイクロバスなどで移動するのが一般的です。 火葬場に到着後は、火葬許可証を提出し手続きを行ったうえで、火葬が執り行われます。
3.出棺時のマナー
出棺時のマナーとして、服装は喪服を着用します。霊柩車が見えなくなるまで一礼する、雨の日は地味な色の雨具を使用する、なども大切なマナーです。出棺時のマナーを詳しく解説します。
3-1.服装は喪服を着用する
出棺は葬儀や告別式の最後に執り行われるため、引き続き喪服を着用するのがマナーです。 喪服は、故人様への哀悼の意を表明できる、弔事に相応しい厳粛な装いです。男性はブラックスーツに黒ネクタイ、女性はブラックフォーマルを着用しましょう。葬儀や告別式に参列するときと同様に、髪型や持ち物などにも気を配ることが大切です。
3-2.霊柩車が見えなくなるまで一礼する
出棺後に霊柩車が斎場から出発する際は、その場に立ち止まり、霊柩車が見えなくなるまで一礼または合掌をして、お見送りするのが一般的なマナーです。故人様への最期の敬意を表し、安らかな旅立ちを願う意味合いがあります。 ご遺族の方が深々と一礼されている場合は、合わせて丁寧にお辞儀をしましょう。
3-3.雨の日は地味な色の雨具を使用する
出棺時に雨が降っている場合は、傘やレインコートなどの雨具を使用しても構いません。 ただし、雨具は黒やグレー、紺といった地味で落ち着いた色を選ぶようにしましょう。
派手な色や柄の雨具は、出棺という厳粛な儀式の雰囲気にそぐわないからです。傘をさす際は、周りの方に配慮し、邪魔にならないように配慮しましょう。
4.出棺時の注意点
出棺時の注意点は、火葬場に同行するのは基本的に故人様のご遺族やご親族であることです。 火葬場には火葬許可証を持参することも、忘れないようにしましょう。出棺時の注意点を詳しく解説します。
4-1.火葬場に同行するのは故人様のご遺族やご親族
出棺後に火葬場まで同行するのは、基本的に故人様のご遺族やご親族のみとなります。参列者は、出棺のお見送りまでで解散となるのが一般的です。
ただし、故人様との関係性などによっては、ご遺族やご親族以外の関係者が同行することもあります。誰が火葬場まで同行するのかは、ご遺族や故人様のご意向、葬儀の規模によって異なるため、事前に確認することが大切です。
4-2.火葬場には火葬許可証を持参する
火葬場で故人様を火葬するためには、「火葬許可証」が必要となります。 火葬許可証は、死亡届を提出した後に自治体から交付される公的な書類です。火葬許可証がないと、火葬を執り行うことはできません。 とても重要な書類であるため、紛失しないよう厳重に管理しましょう。
出棺は故人様に最後のお別れを告げる大切な儀式(まとめ)
出棺は、葬儀や告別式の後、故人様を火葬場へお見送りするための大切な儀式です。出棺の儀式は、故人様との最期のお別れを告げる時間であり、安らかな旅立ちを願う意味合いがあります。一般的な流れとしては、棺にお花を手向ける別れ花の儀や棺に蓋をして釘を打つ釘打ちの儀をしてから、喪主の挨拶の後、棺を霊柩車へ搬送し、火葬場へと向かいます。
参列者は喪服を着用し、霊柩車が見えなくなるまで一礼するなど、マナーを守って故人様をお見送りするようにします。火葬場への同行者は近親者が基本であること、火葬許可証が必要なことにも注意が必要です。出棺に立ち会う際は、故人様への哀悼の意を込めて、厳粛な儀式に相応しい姿勢で見送りましょう。