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公開日 │ 2025年08月20日
繰り出し位牌(回出位牌)とは?文字入れの費用についても解説
もくじ

1.繰り出し位牌(回出位牌)とは
繰り出し位牌は(回出位牌)は、本位牌の一種です。ご先祖様のお位牌の札板を10枚前後ほど、まとめて納められます。お位牌は通常、故人様お一人おひとりにご用意します。 ご先祖様が増えるほど、仏壇にはお位牌が増えることになるため、どこかのタイミングで繰り出し位牌に切り替えるのが一般的です。
1-1.繰り出し位牌の仕組み
繰り出し位牌の中には、ご先祖様それぞれの戒名、没年月日、俗名などが記された札板を10枚前後納めることができます。繰り出し位牌の表もしくは先頭の札板には、「◯◯家先祖代々之霊位」と記します。 ご先祖様の札板は、命日順に並べます。ただし、法要が執り行われる際には、対象の故人様の札板を先頭に並べ替えるのが一般的です。繰り出し位牌は、ご本尊の一つ下の段に安置します。
2.繰り出し位牌をご用意するタイミング
繰り出し位牌をご用意するタイミングは、仏壇にお位牌が増えてきたときや、弔い上げが執り行われたときが一般的です。ただし、明確に適切な時期が定められているわけではないため、ご家庭の状況に合わせてご自由なタイミングでご用意しても構いません。繰り出し位牌をご用意するタイミングについて詳しく解説します。
2-1.仏壇にお位牌が増えてきたとき
お位牌は、故人様お一人おひとりにご用意されるのが一般的です。しかし、ご先祖様が増えると、お位牌も増えるため、仏壇内の空間に限りが生じてしまいます。多くのご家庭では、仏壇にお位牌が増えてきたときに、繰り出し位牌への切り替えを検討されます。
2-2.弔い上げが執り行われたとき
弔い上げとは、故人様の供養のために執り行われる最後の年忌法要のことです。一般的には、三十三回忌(故人様がご逝去されてから満32年目)または五十回忌(満49年目)を弔い上げとします。
しかし、近年では仏壇が小型化していることから、弔い上げを待たずに繰り出し位牌に切り替えるご家庭も少なくありません。
3.繰り出し位牌の文字入れと費用について
繰り出し位牌の中には、ご先祖様一人ひとりの札板が納められます。本来のお位牌からの切り替えとなるため、札板には改めて開眼供養が必要となります。繰り出し位牌の札板の文字入れは、寺院や葬儀社、仏壇・仏具店に依頼できます。
寺院に文字入れを依頼する際は、開眼供養のお経料と合わせてお布施をお渡しします。葬儀社、仏壇・仏具店に依頼する場合も文字入れの費用が掛かります。いずれにしても、札板の枚数ごとに費用が掛かりますので、事前にお問い合わせいただく事をお勧めします。
4.繰り出し位牌の種類
繰り出し位牌には、漆塗り、唐木、モダンデザインなど種類があります。仏壇の雰囲気やご予算に合わせて、種類やデザインを選びましょう。 繰り出し位牌の種類を詳しく解説します。
4-1.漆塗り
漆塗りの繰り出し位牌とは、表面に漆を塗り重ねて仕上げられたお位牌のことです。
金粉や蒔絵などで装飾が施されているため、煌びやかで高級感があります。費用は高額な傾向にありますが、厳かな雰囲気を保つことができるため、伝統的な華やかな仏壇と調和します。
4-2.唐木
唐木の繰り出し位牌とは、希少で高級な木材を使用したお位牌のことです。木の素材独自のあたたかみがあり、漆塗りの繰り出し位牌と比べると、シンプルな印象に仕上がっています。
華やかな仏壇にもシンプルな仏壇にも調和する、バランスの良い繰り出し位牌です。
4-3.モダンデザイン
モダンデザインの繰り出し位牌とは、現代的なデザインのお位牌のことです。現代のライフスタイルに調和するように、シンプルで洗練されたデザインに仕上げられています。
現代的な仏壇にはもちろん、コンパクトサイズであることが多いため、小さな仏壇にも最適です。
5.繰り出し位牌をご用意するときの注意点
繰り出し位牌をご用意するときの注意点は、宗派の慣習に配慮することと、文字入れの依頼は慎重におこなうことです。過去帳との違いや開眼供養(魂入れ)が必要となる点にも留意しましょう。
まず、宗派の慣習への配慮ですが、浄土真宗では基本的にお位牌は用いません。その他の宗派では原則としてお位牌(繰り出し位牌)を用いますが、切り替えのタイミングなどに尊重すべき慣習があることがあります。繰り出し位牌への切り替えを検討する際は、宗派の慣習を必ず確認しましょう。
続いて、文字入れの依頼についてですが、戒名や没年月など故人様の情報が誤って記されることのないよう、慎重にお伝えすることが重要です。可能であれば、依頼先には現在お祀りしているお位牌を持参したり、写真を送付したりするようにしましょう。繰り出し位牌と過去帳の大きな違いは、開眼供養(魂入れ)を執り行うかどうかです。
過去帳とは、故人様の戒名や没年月や俗名などが記された帳面のことです。故人様の情報を記すという点ではお位牌(繰り出し位牌)と同じですが、過去帳は記録的な意味合いが強いため、開眼供養は執り行いません。一方、繰り出し位牌は手を合わせて拝む対象となるため、切り替えて仏壇に安置する前に開眼供養を執り行うのが一般的です。
繰り出し位牌のご依頼から納品までには、2〜3週間ほどの期間を要します。開眼供養を執り行うことも考慮して、法要がある場合は間に合うように、早めに準備をしましょう。
繰り出し位牌はご先祖様たちを供養する大切な仏具(まとめ)
繰り出し位牌(回出位牌)は、ご先祖様のお位牌を一つにまとめて供養できる大切な仏具です。基本的には、仏壇のスペースが限られる場合や、弔い上げのタイミングで切り替えます。繰り出し位牌に切り替える際は、宗派の慣習を確認し、文字入れ依頼は慎重におこなうことが大切です。
過去帳と違って開眼供養が必要となる点にも留意しましょう。繰り出し位牌は、漆塗りや唐木、モダンデザインなど種類が豊富にあります。仏壇の雰囲気やご予算に合わせて、ご先祖様への感謝の気持ちを込め、最適なものを選ばれてくださいね。