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公開日 │ 2025年07月31日
【完全ガイド】位牌の種類と違い|選び方までわかる初心者向けに解説
もくじ

注文するときは、位牌の種類と違いを理解したうえで、故人様のご意向を尊重し、ご自宅の仏壇に合う適切なものを選びましょう。今回は、位牌の種類と違いについて解説します。位牌の種類の選び方も解説するので、ご参考にしてください。
1.位牌の種類
位牌には、漆塗位牌や唐木位牌や面粉唐木位牌などの種類があります。輪島塗位牌、呂色位牌、モダン位牌、蒔絵位牌などもあります。位牌の種類について詳しく解説します。
1-1.漆塗位牌
漆塗位牌(うるしぬりいはい)とは、木地に漆を幾重にも塗り重ね、金粉などで装飾を施した、最も伝統的な位牌のことです。 特徴は、温かみと深みのある美しい深い漆黒の光沢と、重厚な存在感にあります。
職人の手によって丹念に仕上げられるため、非常に堅牢で美しく、代々受け継がれるにふさわしい荘厳さを備えているのです。本漆を使用したものは高価になりますが、美しさと耐久性に優れています。 伝統ある華やかな仏壇に適しています。
1-2.唐木位牌
唐木位牌(からきいはい)とは、黒檀(こくたん)や紫檀(したん)といった銘木の木目を活かした位牌のことです。黒檀や紫檀は非常に硬く、耐久性に優れており、木本来の美しい木目や色合いが魅力となっています。漆塗位牌のような華やかな仕上がりではなく、自然素材ならではの落ち着いた温かみと重厚感が特徴です。 素材が同一の「唐木仏壇」に適しています。
1-3.面粉唐木位牌
面粉唐木位牌(めんふんからきいはい)とは、唐木位牌の一種で、黒檀や紫檀の銘木を素材に使用し、表面に金粉(面粉)の装飾を施した位牌のことです。
唐木の持つ自然な木目の美しさに、金粉の輝きが加わることで、華やかな印象に仕上がります。漆塗位牌の持つ荘厳さと唐木位牌の落ち着いた雰囲気とを兼ね備えたような印象が特徴で、仏壇の中で存在感を放ちます。 伝統ある華やかな仏壇にも、落ち着いた印象の仏壇にも適しています。
1-4.輪島塗位牌
輪島塗位牌(わじまぬりいはい)とは、石川県輪島市で生産されている伝統工芸品「輪島塗」の技法を用いて作られた位牌のことです。 輪島塗は、国の重要無形文化財にも指定されています。 優美で滑らかな独特の質感があり、堅牢かつ耐久性に優れているのが特徴です。 伝統ある華やかな仏壇に適しています。
1-5.呂色位牌
呂色位牌(ろいろはい)とは、漆塗りの中でも特に高度な「呂色仕上げ」が施された位牌のことです。 呂色仕上げとは、漆の表面を何度も研磨し、炭粉で磨き上げることによって、鏡のような深く滑らかな光沢を生み出す技法のことです。 多大な手間と時間を要するため、漆塗位牌の中でも最高級品とされています。 漆黒の鏡のような美しい光沢が特徴で、気品ある厳かな雰囲気があります。 伝統ある華やかな仏壇や、シンプルで高級感のある仏壇に適しています。
1-6.モダン位牌
モダン位牌とは、現代的な形状の中に和のテイストを融合させた位牌のことです。 従来の伝統ある位牌の要素を取り入れながらも、現代の住環境やライフスタイルに合わせてデザインされています。 価格は比較的リーズナブルな傾向にありますが、個性的なデザインに仕上げる場合は、高価になることもあります。 仏間がないご家庭や、洋室に仏壇を置かれる場合に適しています。
1-7.蒔絵位牌
蒔絵位牌(まきえいはい)とは、漆の表面に美しい会津蒔絵が施された現代的な位牌のことです。 金や銀などの金属粉によって、伝統ある絵柄や模様が描かれています。 四季折々の花々や故人様を象徴するモチーフが描かれることも多く、芸術的な美しさを放ちます。 モダン仏壇や、現代的な個性のある仏壇に適しています。
2. 位牌の種類の選び方
位牌の種類を選ぶときは、故人様の宗派を必ず確認しましょう。仏壇との調和を考慮したり、故人様やご遺族の意向を尊重したりすることも大切です。位牌の種類の選び方を解説します。
2-1.故人様の宗派を確認する
位牌は、宗派によって有無や選ぶべき種類などが異なる場合があります。 例として、浄土真宗では位牌を設けず、過去帳や法名軸を用いるのが一般的です。他の宗派でも、位牌の形式や文字入れの作法などに違いがあることがあります。 故人様を適切にお祀りするためにも、宗派の確認は必ずおこないましょう。
2-2.仏壇との調和を考慮する
位牌は、仏壇の中心に安置されるため、仏壇全体の雰囲気に調和する素材やデザインを選ぶことも大切です。 伝統的で華やかな仏壇には漆塗位牌や輪島塗位牌が、シンプルで落ち着いた印象の仏壇には唐木位牌が、現代的な仏壇にはモダン位牌が馴染みやすいでしょう。また、サイズも考慮し、ご本尊や既にお祀りされているご先祖様の位牌よりも大きくならないように配慮が必要です。 仏壇との調和に関しては、葬儀社や仏具店に相談することができます。
2-3.故人様やご遺族の意向を尊重する
位牌は、故人様への想いが形となるものでもあります。 故人様の雰囲気を意識したり、生前好まれた色やデザインを採用したりすることで、故人様の個性を象徴するような位牌に仕上がるかと思います。
故人様が生前に位牌に関してご意向を示されていた場合は、できる限り尊重するようにしましょう。また、位牌は仏壇に日々手を合わせるご遺族の、心の拠り所にもなります。ご遺族が長く大切にできる、愛着の持てる位牌を選ぶことも大切です。 故人様とご遺族、双方の意向を尊重し、最適な位牌を選びましょう。
位牌は故人様の魂が宿る大切なもの(まとめ)
位牌は、故人様の魂が成仏した証であり、後代へと受け継がれる大切なものです。漆塗位牌、唐木位牌、モダン位牌など多種多様な種類があり、それぞれ素材、加工法、デザインなどに特徴があります。漆塗位牌は伝統的な美しさと堅牢さを持ち、唐木位牌は銘木の風合いが魅力です。面粉唐木位牌は、漆塗位牌と唐木位牌の良い点を併せ持ちます。
最高級の呂色位牌、伝統工芸の輪島塗位牌、現代の住空間に馴染むモダン位牌、美しい装飾の蒔絵位牌など、故人様の個性や仏壇の雰囲気に合わせて選べます。位牌を選ぶときは、まず故人様の宗派を確認しましょう。仏壇との調和を考慮しながら、故人様やご遺族の意向を尊重することも重要です。
故人様への深い感謝と敬意を形にし、ご遺族の心の拠り所となるような、最適な位牌をお選びいただくことをおすすめいたします。