知識
公開日 │ 2025年09月26日
一日葬のタイムスケジュール 家族葬との違いについて
もくじ

1.一日葬が増加傾向にある背景
近年、一日葬が新たな葬儀形式として着目されています。一日葬が増加傾向にある背景には、まず、現代における日本の家族形態の変化があります。少子高齢化が進む日本では、大家族が少なくなり、核家族化が進行しています。
以前のように、多くのご親族や参列者を招いて大規模な葬儀を執り行うご家庭は減少傾向にあり、一日葬や家族葬など、小規模な葬儀の需要が増えているのです。一日葬ではお通夜を執り行わないため、ご遺族の負担が少なく、遠方からの参列者も葬儀に参列しやすい利点があります。また、ご遺族が高齢である場合、2日間にわたる一般葬の準備や対応は心身ともに大きな負担となります。
一日葬であれば、葬儀・告別式から火葬までを1日で終えられるため、ご遺族の負担を大きく軽減できます。さらに、葬儀の経済的な負担を軽減したいというご要望も少なくありません。一日葬ではお通夜など一部の葬儀を省略するため、葬儀費用が安くなる傾向にあります。一日葬はご遺族や参列者の負担を最小限に留めながら費用を抑えられる、近代的な葬儀の形式といえるでしょう。
2.一日葬のタイムスケジュール
一日葬ではお通夜を執り行わず、納棺した状態から葬儀・告別式に臨むのが一般的です。葬儀・告別式の後は、一般葬と同じく、火葬場にて荼毘に伏します。一日葬のタイムスケジュールを紹介します。
2-1.葬儀・告別式を執り行う
一日葬ではお通夜を省略して、葬儀・告別式を納棺した状態から執り行います。一般的に、午前中に納棺や故人様とのお別れの時間を設けた後、正午ごろから葬儀・告別式を開始するスケジュールが多いようです。葬儀・告別式は、一般葬とほとんど同じ内容で執り行われます。僧侶による読経や焼香、ご遺族による挨拶などがあり、閉式後に出棺となります。
一日葬の場合は、一般葬と比較すると、ややタイトなタイムスケジュールになります。 故人様とのお別れの時間が限られるため、ご遺族は時間に追われるように感じるかもしれません。故人様とのお別れの時間をしっかりと確保したい場合は、事前に葬儀社とよく相談しておくことが大切です。
2-2.火葬場にて荼毘(だび)に伏す
葬儀・告別式を終えた後、故人様を納めたお棺は霊柩車で火葬場へと搬送されます。火葬場に到着した後は、故人様を炉へとお納めし、荼毘に伏します。
荼毘に伏すとは、故人様のご遺体を火葬して供養することです。火葬の後、ご遺族は故人様の遺骨を骨壺に納める収骨の儀を執り行います。収骨を終えた後、ご遺族は火葬場を後にし、ご自宅へと戻ります。火葬場での儀式まで含めて、すべてを1日で終えられるのが一日葬の大きな特徴です。
3.一日葬と家族葬の違い
「一日葬」と「家族葬」は混同されやすい葬儀形式ですが、違いがあります。一日葬は、お通夜を省略し、1日で葬儀を終えるという形式の葬儀です。一方、家族葬は参列者をご家族やご親族など、身内の近親者のみに限定するという規模や参列者の範囲を限定した形式の葬儀を指します。
一日葬は葬儀の「日数や時間」に着目した形式であり、家族葬は葬儀の「規模や在り方」に着目した形式といえるのです。そのため、「一日葬として家族葬を執り行う」といった選択もできます。一日葬も家族葬も、一般葬と比較すると小規模で執り行われることの多い、近代的な葬儀の形式です。
少子高齢化が進む日本において、合理的ともいえる葬儀の形式ですが、宗派や地域の慣習に倣い、故人様を適切に供養するためには、必ずしも最適な選択肢であるとは限りません。葬儀の形式をご決断する際には、故人様やご遺族のご意向を大切にしながらご家族でよく話し合い、慎重にご検討されてくださいね。
一日葬を執り行うかはご家族でよく話し合い慎重なご判断を(まとめ)
一日葬は、お通夜を省略し、葬儀・告別式から火葬までを1日で執り行う葬儀形式です。近年、核家族化や高齢化社会、葬儀の経済的な負担を軽減したいというニーズから、一日葬という形式を選ぶ方が増えています。一日葬の利点は、ご遺族や遠方からの参列者の心身的な負担を軽減でき、比較的費用を抑えられやすい傾向にあることです。
しかし、お通夜を執り行わないため、故人様とのお別れの時間は限られてしまう可能性があります。また、一日葬は近代的な葬儀形式であるため、ご親族の中には抵抗のある方がいらっしゃったり、菩提寺が対応していなかったりするケースも少なくありません。一日葬を検討する際は、ご家族でよく話し合い、ご親族や菩提寺にも事前に相談して、みなさまが納得したうえでご決断することが大切です。