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公開日 │ 2025年04月07日
末期(まつご)の水とは?方法や一般的な手順をわかりやすく解説
もくじ

故人様が病院でご逝去された場合は、医師や看護師が手はずを整えてくれることもありますが、大切な儀式をご遺族として執り行うために、一般的な方法や流れを理解しておくことは大切です。
今回は、末期の水について儀式をする方法や一般的な手順を解説します。末期の水を行うタイミングと場所、行う人の順番なども解説するので、お役立てください。
1.末期(まつご)の水は故人様とお別れを告げる大切な儀式
末期の水とは、故人様がご逝去された直後に、お口を湿らせて潤す儀式です。「死に水(しにみず)」と表現されることもあります。
元来、末期の水は蘇生を願う民族的儀礼でした。
現代における末期の水は、故人様への最後の敬意として、お口に水を含ませることを意味しています。お口を湿らせて潤すことで、安らかに旅立てるようお祈りする意味合いもあります。
元来では故人様がご逝去される直前に行われていましたが、現代ではご逝去された直後に行うのが一般的となっています。
2.末期の水を行うタイミングと場所
末期の水を行うタイミングは、故人様がご逝去された直後です。病院であれば医師がご臨終を告げた直後に、そのまま病室で執り行います。ご遺族が集まっていない場合は、全員揃ってから執り行われることもあります。その場合は、病院の安置室などに移動してから執り行われるのが一般的です。
ご自宅でご逝去された場合は、そのままご自宅で執り行います。訪問看護師や葬儀社にサポートしてもらいながら、執り行うのが一般的です。葬儀社との契約が済んでいる場合、葬儀社の安置所に移動してから執り行うこともあります。
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3.末期の水を行う方法
末期の水を行う方法は、多岐にわたります。宗派や地域の慣習に応じて、どのように進めるか検討するようにしましょう。
末期の水を行う方法について詳しく解説します。
3-1.綿棒を使用する方法
お椀に水を汲み、綿棒を湿らせて行う方法です。 綿棒はご家庭に備えてあることが多いため、特別な準備の必要がない利点があります。
3-2.割り箸と脱脂綿を使用する方法
お椀に水を汲み、割り箸に脱脂綿を巻き付け、先端を湿らせて行う方法です。脱脂綿がなければ、ガーゼを使っても構いません。
3-3.新しい筆を使用する方法
お椀に水を汲み、新しい筆を湿らせて行う方法です。未使用の筆がない場合は、綿棒や割り箸と脱脂綿を使って行うようにしましょう。
3-4.樒の葉や鳥の羽根を使用する方法
お椀に水を汲み、樒の葉や鳥の羽根を浮かばせることで湿らせて行う方法です。樒の葉には悪霊退散、鳥の羽根には魂の解放という、仏教的な意味合いがあります。すぐに用意できるものではないため、一般的には綿棒や割り箸と脱脂綿、新しい筆を使って執り行うことが多いようです。
4.末期の水の一般的な手順
末期の水の一般的な手順は、以下のとおりです。※以下では「綿棒を使用する方法」の一般的な手順を解説します。
- お椀と綿棒を用意する
- お椀に水を汲む
- お椀と綿棒を小さなお盆に乗せて故人様の枕元に置く
- 綿棒をお椀の水で湿らせる
- 故人様の唇を上唇の左から右へ、下唇の左から右へと優しくなぞる
お椀はご自宅にあるものを、水は清潔であれば水道水でも構いません。儀式後、綿棒はティッシュなどに包み、ビニール袋に入れて処分しましょう。
5.末期の水を行う人の順番
末期の水の順番は、故人様と関係性の深いご遺族からです。一般的には、以下のような順番で行います。
- 配偶者
- 子ども
- 両親
- 兄弟姉妹
- 子どもの配偶者や兄弟姉妹の配偶者
- 孫
- 従兄弟などその他の親族
配偶者や子どもがいない場合は、喪主を務める方や生前一緒に暮らしていた方から行います。孫など幼い子どもがいる場合は、無理に努めさせる必要はありません。末期の水には慣習として一般的な順番がありますが、故人様との関係性やそのときの状況に応じて配慮するようにしましょう。
末期の水は故人様に最後の敬意を示す大切な儀式(まとめ)
末期の水は、故人様がご逝去された直後にご遺族が執り行う、大切なお別れの儀式です。綿棒や割り箸と脱脂綿、樒の葉や鳥の羽根などを使って、故人様のお口を水で優しく湿らせます。末期の水の意味合いは様々ですが、故人様に最後の敬意を示す大切な儀式です。
故人様が安らかに旅立てるよう祈り、唇を潤します。末期の水には手順や行う人の順番がありますが、大切なのは故人様に感謝を伝える気持ちです。あまり難しく考えず、医師や看護師、葬儀社の指示に従いながら、故人様と最後のお別れの時間を穏やかに過ごせるよう務めましょう。