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公開日 │ 2024年03月28日

更新日 │ 2024年06月04日

お彼岸にすること?意味や時期など基礎知識を詳しく解説

お彼岸にすること?意味や時期など基礎知識を詳しく解説
お彼岸にすることを正しく理解している方は意外にも多くありません。そもそもお彼岸とは古来からある仏教的な思想や日本の風習が結びついて形成されたもので、現代に至るまで長い間大切にされてきた習慣です。

自身のご先祖や大切な方の供養を適切におこなうためには、その意味や時期について内容をしっかりとおさえておく必要があります。

今回の記事ではそうしたお彼岸に関する基本的な事項から、年に2回(春・秋)訪れるお彼岸において実際にするべきことを3つの項目に分けて解説をいたします。

また、それ以外にもお彼岸の時期に避けたほうがいいことや、お供えする供物に関する内容についても詳しくご説明をしておりますので、ご参考になさってください。

1.お彼岸とは?

1-1.彼岸は仏教用語に由来する言葉

お彼岸の習慣は2つの由来が合わさって形成されたと言われています。 1つは至彼岸(とうひがん)という意味合いで、煩悩や迷いのある世界から悟りの世界へ至ること、また、至るために行う修行そのものを指す言葉です。

元々「至彼岸」はサンスクリット語の「paramita(パーラミタ)」という言葉が語源となっており、日本では音写語で「波羅蜜多(はらみた)」になります。

特に日本の仏教においては波羅蜜多として「六波羅蜜(ろくはらみつ)」と呼ばれる6つの修行に励むことで、悟りの境地に至るものとされています。

もう1つは日本古来からある「日願(ひがん)」という信仰です。これは作物を育てるために必要な太陽や自然の恵みに対する感謝を示す信仰で、真東から太陽が昇り真西に沈み、昼と夜の時間が同じになる神秘的な日(現代で言うところの春分と秋分)を特に大切にしていました。

時代の変遷と共にこれらの2つの要素が合わさることで、今日で言うところのお彼岸と呼ばれる風習が根付くようになりました。

1-2.お彼岸にあたる時期

お彼岸にあたる時期は祝日にも設定される春分の日と秋分の日をもとに決まり、それぞれを中心日に置いて前後3日間を含めた計7日間が該当します。

2024年は春分の日が3月20日のため、【3月17日〜3月23日】までが春のお彼岸となります。また、秋分の日が9月22日のため、【9月19日〜9月25日】までが秋のお彼岸となります。

ただし年度によってはそれぞれの日にちが異なり、彼岸の時期も変わるため注意が必要です。

1-3.彼岸と此岸の違いについて

仏教では今生きている世界(欲にまみれた俗世)を「此岸(しがん)」、悟りに至った後の世界(仏様がいるとされる場所、浄土の世界)を「彼岸(ひがん)」と呼んでいます。

これらは「この世」と「あの世」という区別をされることもあります。そしてその間に流れているとされているのが、いわゆる「三途の川」です。 1年の中で春分と秋分の日においてはそれぞれの距離が最も近づき、悟りの世界に至る道しるべが出来るという考え方があります。

そのため、お彼岸の意味するところには、正しく仏教の修行をして此岸から彼岸に至ることが存在しており、同時に既に彼岸(あの世)の世界にいるご先祖を供養することの大切さも込められています。

2.お彼岸の時期にするべき3つのこと

2-1.先祖のお墓参りに行く

お彼岸では一般的に先祖供養としてお墓参りをされる方が多くいらっしゃるでしょう。普段からお墓へと足を運ぶ機会が少ない方こそ、お彼岸の時期にはなるべく墓参りをすることをおすすめいたします。

墓前に着いたら、まず墓石の掃除やお墓周りの整備などをおこなうようにしましょう。墓石に水をかけて、汚れの目立つ箇所はたわしやブラシなどで落としていきます。その他にも雑草の駆除やゴミを綺麗に片付けるなどして、全体を綺麗に整えます。

掃除や整備が終わった後でお供え物やお線香を手向けて、お墓に眠っている方へしっかりと挨拶をしましょう。その中で日々の悩み事や今頑張っていることなどをお伝えしてみても構いません。

最後にはお供え物を下げ、火の元や掃除した際に出たゴミ等に注意してから帰るようにしましょう。

2-2.仏壇・仏具を綺麗にしてお参りする

自宅に仏壇がある方は、いつも手入れしない箇所まで入念に掃除をして綺麗にするとよいでしょう。仏壇の掃除は毛払い用の柔らかいブラシや乾いた布を使用しておこないます。

つい洗剤などを使用して水拭きで汚れを落としたくなるかもしれませんが、色落ちや変色が起こる可能性があるため、基本的には使用を控えた方が無難です。

また、掃除をする際に中の仏具を移動させると、元の位置が分からなくなる場合もあるため、不安な方は写真を撮っておくことをおすすめします。しっかりと綺麗にした後はお線香を手向けてお参りを済ませましょう。

2-3.お寺が主催する彼岸会に参加する

先祖の霊を供養するために、多くのお寺では彼岸の時期に「彼岸会(ひがんえ)」という仏事が執り行われています。彼岸会はお寺に檀家が集まっておこなうこともあれば、住職が各家庭へと足を運んでおこなうこともあります。

いずれの場合においても、彼岸会に参加する際にはお布施をお渡しすることが一般的です。お布施の金額について特に決まりはないため、あくまで自身のお気持ちで包むようにしても差し支えありません。

ただし地域によってはお渡しする目安の金額が異なる場合もあるため、予めお寺に直接確認をしておくと安心です。また、檀家になられている方は大晦日や花まつり(お釈迦様の誕生日)といった他の仏事などでお寺の手伝いをされている場合もあるため、その際にご交流のある他の方々へご様子を聞かれてもよいでしょう。

3.お彼岸の時期に避けた方がよいこと

お彼岸は葬儀の考えが影響する風習ではないため、喪中のように目立ったことをせず、あえて身を慎む必要はありません。

ですが、1年の中で特に先祖供養を大切にするのがお彼岸の考えのため、神社参り、結婚式、入籍といった神事やお祝い事などはなるべく避けるほうが無難と言えるでしょう。

もしお墓が遠方にあり、自身の体調や仕事などの都合でお彼岸の期間中にお参りに行けないという方は、自宅の仏壇に手を合わせたり、心の中で感謝を伝えるだけでも構いません。

いずれも大切なのはご先祖を供養する気持ちであるため、年に2回訪れるお彼岸をしっかりと意識しておくようにしましょう。

4.お彼岸の際の御供物にふさわしいものとは?

4-1.ぼた餅やおはぎ

昔から春の彼岸では「ぼた餅」、秋の彼岸では「おはぎ」をお供えする風習があります。ぼた餅とおはぎはどちらも米を蒸すか、あるいは炊いた後に潰し、それを丸めてあんこで覆って作られるため、形状としては同じです。

その主な違いとしては、ぼた餅が「こし餡」、おはぎが「粒あん」で作られるというものです。

ただし、現代においてはそうした明確な区別がされないケースもあり、また、地域によってはそもそも別の基準によって区分けがされている場合もあるため、必ずしも当てはまるものではありません。

そもそもお彼岸にぼた餅やおはぎを供える理由としては諸説あります。一説では、古来から赤という色には災難が降りかからないようにする魔除けの効果があり、原料の小豆をそれに見立てたとされています。

そうした考えから邪気を払い、先祖の霊を供養するために昔からお供え物として広く用いられるようになりました。

4-2.季節の果物

春はいちごやグレープフルーツ、メロンといった果物が旬となり、秋はぶどうや桃、柿などが旬を迎えます。そうした季節ごとに美味しく食べられる果物もお供え物としてよく用いられます。

墓前や仏壇にお供えした後は果物が傷んでしまう前に、家族間で感謝の気持ちを持ちながら召し上がるようにしましょう。

4-2.故人の好物

お彼岸の時期に限りませんが、元々故人が好きだった食べ物やお菓子があれば積極的にお供えをするとよいでしょう。

また、お酒が好きだった場合はグラスなどを用意してお供えをすると喜ばれるかもしれません。いずれもお彼岸をきっかけに、普段より故人の供養について深く考えて行動することが大切です。

お彼岸にすることは?意味や時期など基礎知識(まとめ)

お彼岸は春分の日と秋分の日を中心日とした際の前後3日を含めた合計7日間の時期のことです。春分や秋分の日は太陽が真東から真西に沈むことで道が示されるため、生きている世界(此岸)と仏様のいる世界(彼岸)が最も近づくとされています。

そうした考えから先祖のお墓参りに行ったり、自宅にある仏壇や仏具を綺麗にして供養をされたりする習慣が根付いてきました。

逆にお彼岸の時期にしてはいけないことは特にありませんが、本来は供養を大切にする期間でもあるため、祝い事や神事などはなるべく避けたほうが無難といえます。

年に2回訪れるお彼岸を改めて見つめ直すことで、これまで以上に先祖や大切な方の供養をおこなうことが出来るため、この機会にしっかりと内容をおさえておくようにしましょう。